知恩院から続く古川町商店街は、アーケードを仰ぎ、ごくありふれた店が立ち並ぶ、観光客とは無縁の商店街だが、この一角に、界隈とは全く異質の店がひっそりと暖簾を下げている。それが「虚無蕎望なかじん」。最近京都で人気の蕎麦屋だが、極端に品数の少ない、今どきの哲学的な蕎麦屋とは一線を画す、愉しい店。ゆえにここでは蕎麦屋としてではなく、日本料理の店として紹介する次第。昼は幾品かのアラカルトもあるが、基本的にはコース仕立てで蕎麦を食べる店。
[注目サイト]
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前菜、主菜から選び、蕎麦料理が四種付く夜の「蕎麦点心」が一番人気。蕎麦を核としたプリフィクスコースが珍しい。石臼で挽いた十割蕎麦の旨さは勿論のこと、鰹や松茸、句の素材を使った料理も秀逸。夏の盛りに食べた鮎の塩焼きは小ぶりで、頭から食べられるほどの焼き加減。半端な割烹よりも遥かに美味しく、かつ値段も良心的。漆黒のカウンター席で豊富に揃う酒類と共に、料理を楽しみ蕎麦で〆る。京都に生まれた新しいスタイルの蕎麦屋は、その革新的な試みはとどまるところを知らず、本格的な江戸前握りをメニューに加えたり、蕎麦粉を使ったロールケーキが入手困難なほどの人気を呼ぶなど、次々と新たな分野に挑む姿は頼もしい限り。