あれは2001年のことだったか、伊豆半島の北部を流れる狩野川の中流域を地元の人たちと20人ほどで自転車で見て回っているとき、誰かが川の中を指差すので、見たら、なんと鹿が数頭、浅瀬を走っているではないか。やがて彼らは、川原の中にある深い叢に消えていったが、その辺りは川至近を国道が通り、反対側には温泉地としても有名な町の住宅街が広がっているところだった。ふつうはそんな野生動物などいないはずなのだが、「冬の猟期になると、撃たれないようにするためか、逆に人里に下りてくるみたいだよ」というのが地元の人の解説だった。
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川なのか海なのか、どうもあまり判然としない、汽水域の下流にも独特の魅力がある。それは水質では上流や中流にかないっこないのが下流で、川原にはどうしたってゴミが落ちていたりするし、川自体が市街地の喧騒に隣接しているケースも多い。それでも、下流の様相にはひとつの開放があり、救済があると私は思う。